2016年11月12日土曜日

初音ミクとバレエ 『ドクター・コッペリウス』初演レポート

冨田勲 追悼特別講演『ドクター・コッペリウス』の初演を見てきたので、感想や解説をまとめたレポートとしてお伝えします。

冨田勲 追悼特別講演『ドクター・コッペリウス』より

初音ミク×冨田勲 再び

ドクター・コッペリウスは故 冨田勲氏が製作したスペース・バレエ・シンフォニーで、2016年11月11日渋谷 Bunkamura オーチャードホールにて初演が行われ、2017年春に再演を予定しています。

この公演ではドクター・コッペリウスの他に、イーハトーブ交響曲と惑星のリミックスも演奏されました。それでは演目の順に紹介していきたいと思います。

イーハトーブ交響曲

イーハトーブ交響曲は冨田勲氏が作曲したもので、2012年初演がありました。この交響曲の特徴は主に二つあります。一つ目は宮沢賢治の作品をモチーフにしたメロディや歌詞です。注文の多い料理店など有名な作品をモチーフに、楽曲が展開されていきます。

二つ目はオーケストラ・コーラス編成に初音ミクを本格的に組み合わせた点です。マジカルミライなどのように初音ミク側に合わせて演奏するのではなく、ミクさんの声・映像のほうを指揮へリアルタイムで合わせるという試みが行われました。オーケストラ編成の楽曲を作るだけならスキルさえあれば出来るかもしれませんが、実際に大所帯を率いて演奏まで行うとなると誰にでも出来ることではありません。技術的にも様々な方面への結びつき的にも、冨田勲氏でなければ実現できなかったものだと思います。

東京では過去2度ほど公演が行われていて、オーチャードホールでも一度演奏されています。今回の舞台セットはその時とおおよそ同じだったようで、舞台中央に床から3m程度は離してディラッドボードを設置して前面より2機のプロジェクターで投影していたようです。映像もその時使ったものと同じ、だったようでした。

もちろん曲もその時と同じなのですが、ミクさんの声がオーケストラやコーラスとよりマッチするよう調整されていたのかなと感じます。

気になった点としては、曲の始まり部分はオーケストラやコーラスの音が少しばらけているように感じました。後半ではあまり感じなくなったので修正されたような気もするのですが、詳しくは分かりませんでした。

惑星 Remix 演奏

冨田氏はクラシックの名曲をアナログシンセサイザーでアレンジ演奏して、世界的に高い評価を得ました。その中の一つにホルスト作曲の惑星があります。今回は追悼ということで、イギリスのエイドリアン・シャーウッド氏が冨田氏の惑星を更にアレンジして、「惑星 Planets Live Dub Mix 火星~水星~木星」としてリミックス演奏しました。この曲目に関しては立って体を揺らして良いと、変わった場内アナウンスがはいりました。

編成はエイドリアン・シャーウッド氏がシンセサイザーなどを操り、パーカッションが一人、ストリングスが二人です。ストリングスは通常のヴァイオリンなどでなく、エレキタイプのものを使用していました。

率直な感想を言うと微妙というのが正直なところです。冨田氏の惑星アレンジは冒頭にロケットで宇宙へ飛び立つような効果音が入っていたりと、宇宙旅行へ行くような雰囲気になっています。今回の演奏では軽快な銀河ハイウェイを進むような感じで、子気味良いアレンジになっていました。しかし殆どの場面でベースの音の主張が強く、ストリングスやメロディがあまり聞き取れず曲がかなりあやふやな印象を受けました。私が普段こういった曲をあまり聞かないことや、座席の問題もあったのかもしれませんが、正直に言えばちょっと・・・というのが本音です。

ドクター・コッペリウス

一部は欠番に

今回メインのバレエ組曲です。本来は7楽章で完成だったのですが、冨田氏が製作途中に亡くなってしまうという残念な事態になってしまい、完全でない形で初演が行われることになりました。製作に携わっていた方々がある程度形になっていた第3~7楽章を完成させ、手つかずで未完になった第1~2楽章を補う0楽章を作りました。

バレエ組曲なので当然ストーリーがあるのですが、これが何とも言葉で表しにくいのです。なので、会場でもらった小冊子やパンフを参考に伝わらないこと承知で、おおまかに書いてみようと思います。詳しくは会場で売ってる公式のパンフレットにあるので、生で見る方は絶対に買ったほうが良いです。このバレエを見ただけでは断片的に理解できても、大まかな内容も理解するのも難しいと思います。また、入場時に配られる小冊子のあらすじである程度理解できますが、パンフと比べると情報量が圧倒的に足りません。パンフを買って製作背景などを知って、やっとどんな内容だったかわ分かると思います。欠番した楽章のストーリーについてもあるので、その点でもお勧めです。

まず、この楽曲の着想についてです。日本のロケット開発の第一人者だった故糸川博士は、高齢でありながら生前バレーを習い始めました。そうした中ホログラフィックとバレエを踊ってみたいと語っていたそうです。なので、この楽曲の根本はそこにあるようです。そして糸川博士の生涯と、羽衣伝説を組み合わて出来たのが今回の楽曲というわけです。

糸川博士と羽衣伝説モチーフのストーリー

次に登場人物です。主人公のドクターコッペリウス、演者は風間無限さんです。ドクターコッペリウスはロケット科学者で劇中でもロケットを開発ており、ミクとの出会いなどを経て自身も宇宙へ飛び立ちます。もうお分かりと思いますが、糸川博士がモチーフのキャラクターです。名前のコッペリウスですが、バレエ組曲コッペリアのコッペリウス博士にちなんでいます。

ヒロインのミク、演者はもちろん我らが初音ミクです。天女の娘という設定で、不思議な力を持っています。劇中ではロケット開発に息詰まるコッペリウスを不思議な力で宇宙へ連れて行ったりし、導きます。

ミクの母の小江、演者は秋山桃子さん。月の裏のラグランジュ点の天女です。天女伝説と同じく水浴びをしていたところ漁師に羽衣隠され漁師と結婚することになり、娘のミクを儲けます。そして漁師の旦那の死後月へ帰ります。しかし、帰ろうとしたときにミクが見つからなかったので、仕方なく一人で月へ帰ります。劇中ではミクを無理やり月に連れ帰ります。ちなみに月の裏のラグランジュ点ですが、つまるところガンダムで言うサイド3があるとこです。実は悪いジオン星人なのかもしれませんね・・・

ラグランジュの子供たち、演者は小学生高学年ぐらい?の女の子たちです。名前の通り月のラグランジュポイントに住む子供達です。

上演された部分の大まかなストーリーです。不思議な力でコッペリウスを宇宙へ連れ出すミク、そこでミクを連れ帰ろうとする小江に合いますが、この時はミクが拒否したため小江は帰ります。その後もコッペリウスはミクと宇宙へ飛び出しイトカワへ行ったり、研究に挫折したときに習ったバレエをミクと楽しんでいました。ある日ミクとデュエットを踊っていたコッペリウスですが、月へ連れ帰る決意を固めた小江が現れ、嫌がるミクを無理やり連れ帰りました。悲しみにくれていたコッペリウスはトランペットを吹き始め、そのことで本当の全ての愛に目覚めます。そして小惑星探査機はやぶさと一体化したコッペリウスの魂は、プラネット9に月に帰ったはずのミクが歌い舞う姿を見つけます。 コッペリウスはミクに共鳴するようにプラネット9へ向かい物語は終わります。パンフと小冊子を参考に強引にまとたのでアレですが、こんな感じです。

ハーフミラーによる投影

前置きが長くなりましたが、ドクターコッペリウスのレポートに入ります。まず舞台の様子ですが、投影方法が変更されていました。プロジェクターは舞台真上から下へ垂直に投射し、床に置いた斜め45度のハーフミラーを使って正面へ投影していたようです。この方式はクリプトンが作った「ビーマーベィビィ」というもので、パネルを日本カーバイド工業がハーフミラーを提供しています。ペッパーズ・ゴーストよりも高い没入感を実現しているとあります。意図してなのかは分かりませんが、この時の映像はだいぶぼやけているようでした。
※コメント欄からの情報提供ありがとうございます!

そして舞台上には二つの立方体がつるされています。この立方体は各辺が鉄パイプで出来おり、その辺の至る所から立方体中央にある布へ糸が伸びていて、モーターで引っ張ることで布が形が変えられるようになっていました。この布には効果映像や、ミクさんなどが投影されていました。イトカワをモチーフにしたのではないでしょうか。また、このモーターの動作音が結構大きなものでした。SE的に聞こえて面白い場面もあれば、ちょっと雰囲気にあってないような感じで音が響く場面もありました。

オーケストラが挟むようにして舞台真ん中はバレダンサーが踊れるスペースが花道上に確保されていて、コッペリウスや小江に扮したダンサーが踊ります。

より親和性が増したミクの声

まず思ったのがミクの声の違和感の少なさです。イーハトーブ交響曲を初めて聞いた時は、ミクさんの声がかなり浮いてるなと思ったのですが、今回はマッチしていました。前回ほど言葉を詰めず、伸びやかに歌わせる場面が多かったのが良かったのかなと思います。早口が得意と思われがちなVOCALOIDですが、童謡のように伸びやかに歌わせると調整なしでも結構綺麗に歌ってくれます。そっちのほうに照準を合わせて調整したのが良かったのではないでしょうか?ただ、初見で聞き取れる程かと言えば、他のボカロ曲同様難しい場面が多かったです。イーハトーブ交響曲より親和性が格段に上がっているのを考えると、冨田氏が次の曲を作っていたらと頭がよぎってしまいます。

コッペリウスとミクとのデュエット

私はバレーを初めて生で見たのですが、新鮮で面白かったです。キレのあるピシっとした動きを見るだけでも楽しめたのですが、ミクとのデュエットをこなすところには面白さと共に関心してしまいました。人と違い目くばせしながら合わせるというのが出来ないのに、違和感なく踊っていました。さらにコッペリウスがミクを持ちげるようなポーズをとる場面では、違和感が無いと言ったら嘘になりますが、今できる限りの範囲で違和感がないよう演じることが出来ていたと思います。

尻切れ感が出てしまった最後

頭の楽章はとてもさわやかな印象で、5~6楽章も内容に反してくどい感じはなく、私は好きな雰囲気です。ただ、1~2楽章がなかった分なのか、7楽章の盛り上がり感が出なかったような印象も確かに受けました。パンフレットにあった話を見る限り、1~2楽章はミクさんの母小江の地上での苦悩を描く重めの話を元に曲をつくる予定だったようで、ちゃんと溜めが入ればまた印象も違ったと思います。ネットを見ると尻切れ感のような感想もありましたが、7楽章が希望への旅路で曲調もさっぱりした作りだっただけに、余計にそういった印象を持つ人もいたのかもしれません。

と、今回はこんな感じでした。私としては十分満足感のあるものでしたし、満足感を感じたからこそ、本当の完成形を見てみたかった気もします。近い未来ホログフィックを越えて、ミクさんがバレエが出来る時代が来ると思います。そう思うと糸川博士と冨田氏の旅は今はまだ途中であり、今回の作品で私もその旅に参加したいと思えました。そんな時代が早く来ることを願って、終わりにしたいと思います。

2016年9月11日日曜日

マジカルミライ2016ライブ編 今年はサッパリ目

マジカルミライ2016のライブが2016年9月10日と11日に行われました。私も二日間昼公演参加したので、レポートをお届けします。

初音ミク「マジカルミライ 2016」テーマイラスト

今回の会場は幕張メッセ

昨年は武道館で行われたライブですが、今年2016年は千葉県にある幕張メッセ国際展示場 9-11ホールで行われました。

ライブ用の会場ではなかったのですが、音響はまずまずでした。中央付近であれば比較的良好な音声となっていて、元々が展示場ということを考えるとかなり頑張ったのではないでしょうか。

一新されたセットリスト

曲名/作曲者/ボーカル名

01-39みゅーじっく!(マジカルミライ2016テーマ)/みきとP/初音ミク(新)
02-ゴーストルール/DECO*27/初音ミク(新)
03-ヒビカセ/GigaReol/初音ミク(新)
04-Strangers/Heavenz/初音ミク(新)
05-すろぉもぉしょん/ピノキオピー/初音ミク(新)
06-独りんぼエンヴィー/koyori(電ポルP)/初音ミク
07-タイムマシン/1640mP/初音ミク
08-Hello, Worker/KEI/巡音ルカ
09-どりーみんチュチュ/emon/巡音ルカ(新)
10-愛Dee/Mitchie M/初音ミク・巡音ルカ
11-ドクター=ファンクビート/nyanyannya/KAITO(新)
12-Nostalogic(MEIKO-SAN mix)/yuukiss/MEIKO
13-どうぶつ占い/すこっぷ/初音ミク
14-Calc./ジミーサムP/初音ミク(新)
15-ウミユリ海底譚/n-buna/初音ミク(新)
16-テレカクシ思春期/HoneyWorks/鏡音レン(新)
17-スイートマジック/Junky/鏡音リン(新)
18-リモコン/じーざす(ワンダフル☆オポチュニティ!)/鏡音リン・鏡音レン
19-Baby Maniacs -Eight Mix-/八王子P/初音ミク(新)
20-ラズベリー*モンスター/HoneyWorks/初音ミク(新)
21-39/sasakure.UK×DECO*27/初音ミク
22-shake it!/emon/初音ミク・鏡音リン・鏡音レン
23-ray/藤原基央/初音ミク(新)
-アンコール-
24-Satisfaction/livetune/初音ミク(新)
25-なりすましゲンガー/KulfiQ/鏡音リン・初音ミク
26-Hand in Hand(マジカルミライ2015テーマ)/livetune/初音ミク
※(新)マークはSEGA、マジカルミライ、ミクパ系のライブでは初演奏の曲(私が覚えてる範囲なので間違っていたらご指摘ください。)

今年はセットリストに多くの新曲が組み込まれました。テーマ曲である「39みゅーじっく」を筆頭に、新曲ラッシュでした。今まで同じ曲の多かったミクさん以外のボカロ達にの曲も新曲になりました。特に同じ曲ばかりだったKAITO兄さんもやっと新曲が投入されました。個人的に好きだな「Calc.」が入ったのは本当に良かったですここまで大幅な一新は結構な手間だったと思うので、製作者の方々は苦労が多かったと思います。

全体的な傾向として、簡単にノリやすい曲が多かった印象です。なので、新曲は初見であったものの簡単にリズムに乗れました。新曲が多かった分簡単にノリやすい曲を中心にしたのは、良かったと思います。

ルカさんは今まで大人びた感じの曲が多かったのですが、「どりーみんチュチュ」はかわいい系の曲でルカさんの新たな一面が引き出されたと思います。ルカさんが最高にキュートでした。

ラストの曲ではBUMP OF CHICKENとのコラボ曲「Ray」が入りました。色々と賛否のあった曲ですが、ライブではミクさんの声オンリーのバージョンでした。私はミクさんもBUMPも大好きでコラボ自体は嬉しかったのですが、曲に関してはBUMPボーカルの藤原さんとミクさんの声を同時に歌わせるのはいまいちマッチしていなかったと感じていたので、今回のミクさんオンリーバージョンのほうがすっきりしてい良かったと思いました。

セットリスト関係で悪い点を言えば、最初の新曲群にもうちょっとパンチのある曲があっても良かったかなと思う点です。曲自体は良かったのですが、最初のピークを作るにはちょっと足りなかったかなと思います。もう一つは、レン君とリンちゃんた達のあとにいつもの流れで「shake it」を入れたくなかったのはわかるのですが、今回の位置は強引過ぎたと思います。流れぶつ切れで残念でした。

モージュールも大幅投入

ミクさん達の衣装も新曲と合わせ、ライブでは初の物が多く投入されました。「どりーみんチュチュ」の衣装もいつもの大人びたものでなくかわいい系で、繰り返すようになりますがルカさんが本当にキュートでした。良いとこのお姉さんって感じで最高でした。

以前にも演奏されたことのある「ラズベリー*モンスター」では、衣装の前回ノーマル衣装とは違うもので新鮮味を与えてくれました。比較的簡単にモジュールの変更が出来るのであれば、以前にも演奏された曲は積極的に新衣装を投入してくれるようにすると楽しいと思います。

演出もサッパリ目

照明類はディラッドボードを中心に円形に配置されていました。照明の数も若干少なかったのあると思いますが、配置の関係でサッパリ目の印象を受けました。

会場の天井が緩やかな曲面になっていたものの平面にちかったため、天井にあたる照明はかなり綺麗投影できていました。

プロジェクターは横に7基並べ、そのうち3基を位置に合わせて使うという形だったようです。ディラッドボードは小さめのものを数多く並べていました。ディラッドボートの繋ぎ目が開演前はくっきりで心配でしたが、ミクさん達がいつも以上安定してくっきり映り繋ぎ目も気にならなかったので良かったです。照明類がシンプルな印象で映像がクッキリだったので、ルカさんのDJテーブルのような映像上のオブジェクトはいつも以上に強調出来ていたと思います。

良かったけどパンチが欲しかった

総評としてはタイトル通り良かったけどパンチが欲しかったという印象です。今年は積極的に新曲や新衣装を取り入れたにも関わらず、演出も悪いところあまり無かったと思います。ライブとしての完成度は間違いなく高いものでした。ただ、ちょっとさっぱり目だったので、ガツンと来るようなパンチが欲しかったなという印象です。

悪いところも書いてみたものの、安定して良いライブが続いています。なのに長年ライブを見ていると、慣れてしまっている感があります。贅沢なことを言いますが来年はミクさん誕生10周年の年なので、久々に頭から火が出るようなインパクト期待したいです。

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2016年9月9~11日の日程で行われたマジカルミライ2016の企画展についてレポートします。

大幅に進化したVRライブ

Play Station VRと初音ミクコラボヘッドフォン
Play Station VRと初音ミクコラボヘッドフォン
昨年のマジカルミライの企画展でもデモのあったPlay Station 4のVRライブですが、内容としては去年と同じくミクさんのライブを眺めるのが中心のものですが、去年と比べると大幅にレベルアップしていました。画面の撮影はできなかったので、文字でレポートします。

まずゲーム内容ではなくVRゴーグル本体です。目の焦点を合わせるために細かく調節できるのですが、昨年はメガネ装着状態だと上手く装着することが出来なかったのですが、今年はメガネ装着状態でも問題なく使用可能になりました。これでひとまずメガネ族は安心です。

次にグラフィックの大幅な向上です。去年はヴァーチャルライブ会場のオブジェクトは、どこか貧相なものでした。それが今回は見違えるほど向上していました。本体は隠されていたのですが、もしかしたらPS4 Proだったのかもしれません。VRゴーグルの解像度がまだまだ荒いので、そういう面ではまだ見た目の悪さはありますが、CG自体の質は十分実用レベルに達したと思います。

最後に肝心のゲーム内容でしたが、最高の一言です。ゲーム開始前に係のお姉さんが去年よりすごく面白くなるといって、ハードルを自ら上げてきただけのことはありました。内容は昨年と同じく、PS moveを振ってミクさんのライブを盛り上げるというものですが、立ち位置が増えて大幅に楽しめるものとなっています。ヘッドトラッキングで視野自体は360度ですが、昨年は最前から3列目ぐらいからと、ステージ上の決まった位置からミクさんを眺める感じでした。今年はステージ最前列・右・左と、二階席、ステージ上の中らから、好きなタイミングで立ち位置を選んでみることが出来るようになりました。この中で最も最高なのは、なんと言ってもステージ上です。ミクさんと鼻先がふれあいそうな感覚になるほどの臨場感です。これだけでVRを買う価値があるんじゃないかと思えるほどでした。強いて言えばゲーム性にまだまだ難ありで、PVとしての要素が強い感じです。本格的に音楽ゲームになったら、もう一段次元が変わりそうです。

クリプトンもVRデモを出展

体感型VR用の椅子SIM VR
Play Station VRはVRゴーグルを中心としたVR体験ですが、VRゴーグルに追加する形で振動や傾いたりする椅子SIM VRを使ったデモをクリプトンの技術チームが行っていました。

ゲームは「町中のミクさんを見つける・音楽ゲーム」の二種類から一つを選ぶ形で、おすすめのほうだった町中のミクさんを見つけるゲームをやってみました。内容は大型ロボ?に乗り込み町中に隠れたミクさんを探すというものです。率直に行ってゲーム自体はSonyのものと比べる劣るのですが、椅子自体が傾いたり振動したりするので加速感を感じて実際にロボットに乗っている感じがします。技術デモを行う前に係の方が、ジョイスティックで視点を変えるのでなくヘッドトラッキングで横に向くと酔うと言っていたのですが、本当になかなかのものでした。わざと横へ向いてみましたが、ゲームを終えた後足が震えるぐらい酔いそうになりました。3Dゲーム酔いするほうどうはないので、酔いやすい人は無理だと思います。

フィギュアもロボの時代へ?

ボークスの動く大型フィギュア「ドルフィハニー」と、グッドスマイルカンパニーがiDollとコラボした動く小型フィギュア「HATSUNE MIKU by iDoll x Nendoroid」が展示されていました。

動くドルフィー「ドルフィハニー」
動くドルフィー「ドルフィハニー」
この「ドルフィハニー」はMMDデータを元に、好きにフィギュアを動かすことが出来ます。動きとしては少しゆっくりで、ゼンマイで動く人形のような趣のある動き方をします。開発者はSONYのAIBOの開発に関わっていた方です。

HATSUNE MIKU by iDoll x Nendoroid
HATSUNE MIKU by iDoll x Nendoroid
「HATSUNE MIKU by iDoll x Nendoroid」はねんどろいどサイズの稼働フィギュアです。「ドルフィハニー」のようにゆっくり動くのではなく、おもちゃらしくキビキビ動きます。写真では切れてしまっていますが、下の台座に動力が内蔵されています。

今回二つの稼働フィギュアが出展されましたが、コンセプトがだいぶ違うようです。世間ではpepperのような人型ロボットが社会に進出し始めましたが、フィギュアもロボットの時代へ近づいているようです。

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2016年5月25日水曜日

初音ミクと日本画 「ぼくらが琳派を継いでいく展」を見て

代官山にある「AL」という展示スペースで行われている「ぼくらが琳派を継いでいく展 - 琳派の世界にキャラクターが佇む展覧会」で初音ミクの絵が飾られているということで見てきました。今回の内容は、初音ミクと琳派の視点からの感想が中心です。

ぼくらが琳派を継いでいく展の入り口看板

そもそも「琳派」「ぼくらが琳派を継いでいく展」って?


まず「琳派」についてですが、ざっくり言うと日本画の表現技法です。トークショーの受け売りですが、どんな有名な絵があるかと言えば「風神雷神図」や、今回のミクさんの絵の元ネタになっている「燕子花(かきつばた)図」など、金ぴか屏風絵などが有名です。大和絵から発展した表現技法で、ベタ塗りのような漫画的な表現があったり、オマージュ的に真似ることで技法が伝わり発展してきていたりと、今の漫画文化に近い部分があるのも面白いところです。


「ぼくらが琳派を継いでいく展」については、会場である「AL」に概要が書いてあるので細かくはそちらを読んで欲しいと思うので簡単に説明します。今回の展示関して言うと「初音ミク」「リラックマ」「手塚キャラ」などと、琳派の作品を組み合わせたオマージュ作品の展示会です。初音ミク公式ブログを見ると、去年「京まふ」で展示されたものを持ってきたもののようです。手軽に買えるちょっとしたグッズもあります。

会期は「2016年5月23~29日 12:00~19:00」で無料です。最寄り駅は東横線「代官山」・JR「恵比寿」などで、会場は「AL - 1F Main Space 東京都渋谷区恵比寿南3-7-17」です。こじんまりした会場なので、スマホの地図アプリに住所を直接入力したほうが良いかと思います。

・会場となっているALのページ
・今回の展覧会についての初音ミク公式ブログ

初音ミクは現代の燕子花

トークショーで初音ミクがモチーフに選ばれた理由が話されていましたが、それは現代の「燕子花」としての隠喩です。「燕子花」は女性的なモチーフです。そして、「燕子花図」を書いた尾形光琳は女性好きな一面があったようです。その二つを結びつけると燕子花が沢山並ぶ様子は、美しい女性達とも解釈できます。現代社会、とくに私たちのような男性です。現実の女性より非実在の女性のほうを沢山眺めてる人も多いと思います。そこで、現代の非実在女性の代表としてミクさんを中央に配し、昔の非実在女性として燕子花としたそうです。

非現実の女性ばかり眺めているというのは、的を射てるような耳が痛いような指摘です…

デジタル絵には出来ないアナログの3次元的表現

まず凄いと思ったのは絵でありながら3次元的な部分があるということです。この絵は金箔を貼った屏風の上に、燕子花とミクさんの絵が描かれています。金箔を正面から見ると平面的なのですが、斜め横から見るとホログラムのように独特な光沢を放つのです。ミクさん自身も遠くから見ると平面的なパッケージに描かれているタッチに見えますが、近くで見ると筆のタッチがしっかり分かります。

ミクさんはネット上で発達した文化なのでCGで書かれた絵が多いと思います。なので印刷してもやはり平面的に見えます。しかし、この屏風図は金箔独特の角度による光沢や、筆のタッチによる奥行きがあります。

ここで私が思ったのは、これがデジタルの目指すべき一つの到達点なのではと思います。例えば、ボーカロイドエンジンにデータを打ち込んで歌を歌わたとしたら毎回同じ声が出るだけです。声もまだまだデジタル特有の声で、奥行きが無く平面的です。ファミコンサウンドが今も生きているように、今のボーカロイドが表現の一つだと確信しています。それでも表現の幅としては、この絵のようなアナログの奥行きが表現できるようさらに進化するべきではないかと思います。そして、そこまで到達できた時に、アナログを超えた新しい表現のステージに入れるのだと思います。その時が本当の意味で電子の歌姫になる時なのかもしれませんね。


違和感の壁

この屏風を見た時に何となく違和感を感じました。上手く表現できないのですが、非現実感とでも言ったら良いのでしょうか?有名な琳派の絵が描かれた時代の人も、美しい・神々しいなど色々な感情を持ったと同時に非現実感を感じたと思います。なぜなら金箔のような高い素材を使っている上に、風神雷神のような非実在のモチーフだったり、タッチも写実的ではなく今で言う漫画的な部分があるからです。でも、私が感じたのはそういう意味ではなく、言い換えると親しみを感じないといった部類のものです。美しさや素晴らしいといった気持ちを感じなかったわけではありません。でも、何かつっかかるものを感じたのです。

そこでボーカロイドの違和感に似たものが少しあるのでは?と感じました。ボーカロイド楽曲は、声は必ずデジタルで、楽器も打ち込みであったりします。そこで最初に感じるのはデジタルとアナログのギャップによる違和感です。その後に楽曲独特の美しさや楽しさなどの感情が生まれると思います。しかし、その二つの感覚の他に、口に出せない違和感のようなものを感じるときがあります。その違和感が今回の展示で感じた何かに近いのではと思ったりします。


とまあこんな感じでミクさん中心の感想を書いて見ました。この展示会の他の絵も素晴らしく、水墨画のようなBJの絵は、BJ独特の暗さと力強さを表現出来ていて素晴らしかったです。私は絵には疎い人間ですが、今まで無かったような絵の体験が出来ました。無料なのでミクさんが好きな人は、行ってみれば何か新しい発見があると思います。

2016年4月17日日曜日

今年もハイクオリティ「高田夜サクラミクライブ!」2016

2016年4月16日にお行われた完全ファンメイドのライブ「高田夜サクラミクライブ!」について紹介します。

今年もハイクオリティなライブ

実際のライブの様子

セットリスト

曲名/作曲者/ボーカル名

01-千本桜/黒うさP/初音ミク
02-ラズベリー*モンスター/Gom/初音ミク
03-shake it!/emon/初音ミク
04-ロストワンの号哭/Neru/鏡音リン
05-津軽海峡冬景色/三木たかし/初音ミク
06-からくりピエロ/40mP/初音ミク
07-キャットフード/doriko/初音ミク
08-saku*life/keisei/初音ミク
09-ODDS&ENDS/ryo(supercell)/初音ミク
-初音ミク MC-
10-Promise/samfree/初音ミク・鏡音リン

-アンコール-
11-ルカルカ★ナイトフィーバー/samfree/巡音ルカ
12-みくみくにしてあげる♪【してやんよ】/ika/初音ミク
13-SPiCa/とくP/初音ミク


「高田夜サクラミクライブ!」は完全ファンメイドで行われているミクさんを中心としたVOCALOIDライブです。昨年に続き「高田城百万人観桜祭り」に合わせて上越市高田本町商店街で行われている「城下町高田・本町 春フェスタ」の中のイベントの一つとして、商店街内の「雁木通りプラザ広場」にて4月17日18:30から無料で行われました。ファンメイドとは言え、非常にクオリティの高いライブで無料とは思えない出来です。

高田夜サクラミクライブで千本桜を歌う初音ミク
千本桜を歌う初音ミク
18:30頃
この日は18:30から開始だったということだったのですが、機材トラブルがあったようで一旦始まったと思ったら止まってしまい30分ほど時間が押してしまいました。雪ミクのコスプレをしたお姉さんが何とか時間をつないでグッジョブ!という感じでした。観客の皆さんも特に取り乱す様子もなくまっていました。この会場は屋外だったのですが、18:30頃はまだ若干明るかったので30分時間がおしたことで、結果的に全ての曲を綺麗に投影できました。なので、トラブルも悪いことばかりとは言えません。

CGモデルや映像はファンメイドということもありMMDベースとなっています。率直にいってその点ではSEGAが作っているような映像に比べると、CGの完成度やMMD独特のカクカクな動きなど見劣りしている部分はあります。しかし、それはあくまでもただ比較したらという話で、クオリティ自体はお金をとっても十分なほどで、ファンメイドのクオリティを越えているといっても過言では無いと思います。

スクリーンは小型なものを使っているため非常に鮮明に投影できています。映像自体の解像度も高く、望遠レンズで撮影したものを等倍でみないとジャギなどは分かりません。マジカルミライやミクパは会場が大きいため映像の色身が薄くなったりしますが、会場にあった大きさのスクリーンや解像感のある映像を使うことで、そのあたりのバランスはそれらを越えている部分も多いと思います。

セットリストはSEGAが主催するライブやゲーム「Peoject DIVA」に収録されている曲が多く、ある程度初音ミクが好きな人であればとっつきやすいセットリストだと思います。このうち「saku*life」はこのライブための書き下ろし曲となっています。

高田夜サクラミクライブ!で津軽海峡冬景色を歌う初音ミク
津軽海峡冬景色を歌う初音ミク
前回のライブではシンセサイザーのDX7をミクさんが演奏しているように見せる演出があり面白かったのですが、今回は津軽海峡冬景色という飛び道具が飛び出しました。人間のMCが最初に少し出てきて、歌謡ショー風の演出から始まりました。MMDモデルもこの曲の時は変更され、スナック初音を彷彿させます。こういう演出はファンメイドらしい良いとこだなと感じます。

高田夜サクラミクライブ!でルカルカ★ナイトフィーバーを歌う巡音ルカ
ルカルカ★ナイトフィーバーを歌う巡音ルカ
ライブ中のラスト前のミクさんによるMCで触れていましたが、新潟出身のsamfreeさんが昨年若くしてなくなったと言うことで、「Promise」や「ルカルカ★ナイトフィーバー」が演奏されました。名曲を沢山生み出し、プロとしても活躍されていただけに非常に残念です。

高田夜サクラミクライブ!でPromiseを歌う初音ミク・鏡音リン
Promiseを歌う初音ミク・鏡音リン
「Promise」ではミクさんとリンちゃんの共演も見ることが出来ました。

高田夜サクラミクライブ!でSPiCaを歌う初音ミク
SPiCaを歌う初音ミク
アンコールは「ルカルカ★ナイトフィーバー」と「みくみくにしてあげる♪【してやんよ」で会場をあっためた後、「SPiCa」とSPiCa砲で銀テープを飛ばして終了という流れです。最後まで非常に熱気に包まれた中終わりました。

静岡清水マリンパークでのライブ告知
ライブ告知
参加者としては俗に言うミク廃と呼ばれるコアな層も居ましたが、近隣からきた中高生なども多く来ていました。日本ツアーが行われたりと以前よりは身近になったミクライブですが、中高生にとっては距離・金銭的な理由からまだまだ身近とは言いがたい状況です。このライブが初めてのライブで、これでもっとミクさん達が好きになった人達も多いのではないでしょうか?

以上で今回のライブレポートを終わりにしたいと思います。私はブログを書いて紹介する程度しか出来ないので、制作に携わった方たちのことを考えると脱帽です。本当にお疲れ様でした。

来年も高田でライブを開催する予定とはなっているようですが、その前に2016年8月28日に静岡県清水マリンパークでもライブが開催される予定です。今回の記事を読んで興味をもたれた方は、是非行ってみてはどうでしょうか?

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かなり良かった高田のミクライブ

2016年4月13日水曜日

miku expo 2016 東京ライブレポート

福岡を皮切りに5大都市で行われた初音ミク日本ツアー「HATSUNE MIKU EXPO 2016 Japan Tour」最終の公演である東京ライブについてレポートします。

miku expo大型ポスター

博覧会らしいセットリスト

東京公演セットリスト

曲名/作曲者/ボーカル名-CGモデル名

01-ワールドイズマイン/ryo/初音ミク-F
02-初音ミクの消失/cosMo@暴走P/初音ミク-FT
03-裏表ラバーズ/wowaka/初音ミク-F
- 初音ミク MC -
04-アンハッピーリフレイン/wowaka/初音ミク-F
05-ワールドエンズ・ダンスホール/wowaka/初音ミク・巡音ルカ-AC
06-magnet/minato/初音ミク・巡音ルカ-AC
07-Weekend Girl /kz(livetune) × 八王子P/初音ミク-F
08-ありふれたせかいせいふく/キノピオP/初音ミク-F
09-愛言葉/DECO*27/初音ミク-FT
10-Glass Wall/GuitarHeroPianoZero/初音ミク-ミクパ
11-スノーマン/halyosy/KAITO-F
12-Change me/shu-t/MEIKO-AC
13-東京テディベア/Neru/鏡音リン-F
14-右肩の蝶/のりぴー/鏡音レン-ミクパ
15-リモコン/じーざす (ワンダフル☆オポチュニティ!)/鏡音リン・鏡音レン-F
16-恋は戦争/ryo(supercell)/初音ミク-FT
17-Last Night,Good Night/livetune/初音ミク-F
18-Ten Thousand Stars/CricusP/初音ミク-F
19-ルカルカ★ナイトフィーバー/sumfree/巡音ルカ-ミクパ
- バンドメンバー紹介 -
20-秘密警察/ぶりる/初音ミク-F
21-初音ミクの激唱/cosMo@暴走P/初音ミク-ミクパ
22-Tell Your World/livetune/初音ミク-F
- 初音ミクMC -
23-Blue star (miku expo テーマ曲)/八王子P/初音ミク-F
- アンコール -
24-積乱雲グラフィティ/ryo(supercell)/初音ミク-FT
25-39/sasakure.UK×DECO*27/初音ミク-F
- ダブルアンコール -
26-星のカケラ (初音ミクピアノソロ)/平沢栄司/初音ミク-F

セットリストは英語曲とテーマ曲を除くと国内で演奏されたこのある曲が多く、選曲も割と古めだった感じです。miku expoという初音ミクの博覧会という意味では妥当な選曲だったのではないでしょうか?個人的には大満足のセットリストで、アンコールの積乱雲グラフィティが入ったのがとても嬉しかったです。PSPゲームソフト「初音ミク Project DIVA extend」のOP曲として制作されながら、中々ライブには組み込まれず中に浮いてたやや不遇な曲でした。それがここに来てアンコールとして登場しました。夏っぽい曲なので、夏のライブならもっと最高だったかもしれません。

CGモデルはゲームセンター用のハイポリゴンモデルである「アーケードモデル」と「Future Toneモデル」、PSPとPS3向けで中間的な「Diva Fモデル」、PSP系でアニメ調の「ミクパモデル」と様々なモデルを使っていました。マジカルミライの深海少女でFTモデルを使ったことがありましたが、ここまでバラバラに組み合わせたのは、SEGAが関わっているライブだと最初の感謝際以来だったと思います。ミクさんの姿もいろいろなものがあるで、博覧会のコンセプトにはあっていたと思います。ただ、様々なモデルを使ったことで、曲間をシームレスに繋ぐのは難しくなってしまったのかなとも感じました。

セットリストの最後にある文字が各モデルを表しています。AC(アーケード)モデルとFT(Future Tone)モデルについては、TwitterでSEGAの大崎さんがモデルについて解答しているので確実です。F(Diva F)モデルとミクパモデルについては、過去の公演の映像やセットリストから私が判断しました。もし違うよというモデルがあれば、お気軽にコメント欄にお願いします。

今回のステージは割りとこじんまりした様子でした。ディラッドボードもミクの日大感謝祭と同じくらいのサイズで、マジカルミライが横長のものをつかっているので余計に小さく感じます。いつもはスクリーン端にアルミのトラスを置いてスクリーンの境目を分からないようにする配置が多いのですが、今回はそういったものはありませんでした。スクリーンの後ろの飾りつけもバルーンのようなものと円盤状のものを縦に並んべているだけで、WOWOWの特集であったようにミクさんを目立たせるため簡素なつくりでした。しかし、バルーンに上手いこと照明を当てて月に見立てたりするなど、簡素なセットでしたが効果的に演出しようとしていました。初日昼公演は2F・二日目夜公演はアリーナ前方で鑑賞しましたが、2Fから見たバルーンはとても効果的に演出されていて非常に良かったです。しかし、アリーナから見たときは少しものたりない印象でした。もう少し詰めればより良いものになりそうです。

プロジェクターは真ん中上からと左右斜め下からの3つで数は少なめでしたが、スクリーンが小さいのではっきり映っていました。初日昼は左右斜め下からの映像が、スクリーンを越えて壁にも大きく映っていて、偶然だと思いますが演出のようでよかったと思います。二日目夜公演はプロジェクターの位置を修正したのか、壁に映っていなかったのはちょっと残念です。

スクリーンが光沢のあるタイプだったので位置によっては映りこみが酷いものでした。アリーナからは綺麗に見れたものの、2Fからのサイリウムの映りこみは凄まじくかなり気になりました。ムラ無く解像感のあるディラッドボードにしたそうですが、まだまだ改善の余地はありそうです。

こじんまりとしたセットは基本的に悪くは無かったのですが、やはり曲によっては無理がありました。「初音ミクの激唱」では中に浮く演出が今まで多く行われてきましたが、小型のスクリーンなので少し浮く程度が限界でした。全体としては決して悪くなかったものの、大は小を兼ねる部分もどうしても出てしまう印象でした。

小さいところですが、銀テープがミクをイメージしたメタリックグリーンの物にちゃんと文字が入ったのが良かったです。今までのライブでは文字なしだったので、テープだけでも記念になります。

客層はいつものごとく幅広いのですが、社会人の若い人が多かったような印象を受けました。ライブは大きな混乱も無く終始順調に進みました。アンコールの掛け声は結構大変ですが、2日目夜公演ではミクコールを連続してするのではなく、自然と上手いこと周囲の人どうし分担して出し合うようになったのは面白かったです。少し悪かったことを言えばサイリウムを沢山持つ俗に言う「バルログ」をやってる人が居たのは気になりました。また、ライブ終了後盛り上がるのは良いのですが、誘導があっても帰らないのもちょっとと思いました。ライブ終了後は即ステージの解体が始まるので、引き際も重要ではないでしょうか。

完璧だったWOWOW中継

今回のライブはWOWOWにより東京2日目の夜公演をフルで生中継が行われました。WOWOWはミクパ関西より度々生中継を行ってきましたが、今回はそのノウハウの蓄積がフルで生かされたといっても良いと思います。

会場がライブハウスである関係上、音響はどうしても限界があります。ライブ中は比較的音響がマシであるアリーナでもあまり良いとは感じませんでした。しかし、中継ではクリアに音声が収録出来ており、同じ曲でもかなり違った印象を受けました。また、会場でははっきり映るようにプロジェクタの輝度が大きかったため、逆に実在感が薄れていると感じる場面もありました。中継ではプロジェクタであることを感じさせないぐらい上手く調整されていました。とくに少し引いたぐらいのアングルで撮影しているシーンは、完璧な映りです。早くBDになるのが楽しみです。

渋谷PARCO企画展

渋谷PARCOの企画展で展示されていたiximaミク像

渋谷PARCOの企画展にも行って来ましたが、結構こじんまりした感じでした。スペースは小さな一角にPARCOコラボグッズとmiku expoグッズ、初音ミク関連グッズがある他、2013年のマジカルミライでiXimaさんデザインの初音ミクV3像とパネルが5枚ぐらいある程度です。ちょっと物足りないなあというのが正直なとこです。4月16・17は濃い味のほうの初音ミクであるミクダヨーさんが登場するので、その時行くと良いと思います。

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