2017年9月7日木曜日

マジカルミライ2017企画展編 6年越しボカロキーボードも!

前回のライブ編の記事に続き、2017年9月1~3日に幕張メッセで開催されたマジカルミライ2017の企画展についてレポートします。ボーカロイドキーボードの「VKB-100」とミク☆さんぽなどを中心に紹介します。

今年はトレンド特になし?

初音ミク マジカルミライ2017 等身大フィギュア
等身大フィギュア
2017 Ver.
去年はVRがミクさんのところにブーム来てるな!という感じでしたが、今年もVRの展示はありますがそこまでという感じはしませんでした。世間のVR熱に近いかもしれません。今年も物販が多く、雰囲気的にはいつも通りです。

6年越しの発表ボーカロイドキーボード「VKB-100」

いつも楽器やネット配信用のミキサーなどを展示しているYAMAHAの企業ブースですが、今回は2017年冬発売予定のボーカロイドキーボード「VKB-100」が展示されていたので触ってきました。デモ機が発表されたのは2011年で、6年の時を経て完成に至りました。ちなみに写真は撮り忘れました…

ボーカロイドキーボードという名前の通り、鍵盤を弾くと歌ってくれるショルダータイプのシンセサイザーとなっています。普通のVOCALOIDはPCにインストールするのに対し、スタンドアローンで動作するのが特徴です。ボーカロイド用の専用チップが搭載されており、それで歌声音声合成をリアルタイムで実現します。もっともボーカロイド用の専用チップが搭載されて製品は今回が初めてではなく、大人の科学の付録として作られた「NSX-39」が初めての製品で、製品としての原型にもなったと言えます。

「NSX-39」の機能としては、「あー」というような決められた単音や、USBで接続すると決められた文字数をプリインストール出来て、演奏するとプリインストールした内容順に発声出来ました。さらにMIDIデバイスとしての機能もあったので、DAWと繋ぐと文字数制限なしで歌わせることができたり、内蔵の楽器音源で演奏するなどもできました。5000円程度という値段を考えると凄い機能です。「VKB-100」はこれらの機能を基本とし、さらに改良したものとなっています。

基本的な使い方としては、まずPCやBluetooth接続したスマホから歌詞をキーボードへインストールします。そして鍵盤を弾くことで歌声を演奏することが出来ます。出来ることとしてはショルダータイプのキーボードシンセサイザーに近く、リアルタイムで出力される声の強弱をキータッチの強さで変えたりビブラートをかけたりの機能があります。操作系もほぼ同じです。

このキーボード特有の機能として、ボーカロイド演奏に特化したものがあります。ボーカル音声のライブラリは最大で「VY1・初音ミク・Megpoid・IA・結月ゆかり」を搭載できるのですが、それを選ぶためのつまみがあります。また、ボーカロイドには様々なパラメーターが存在するのですが、それを操作するためのつまみもあります。パラメータに関してはリアルタイムで変更するには限界もあるので、プリセットとしていくつか登録し素早く変更するような使い方も可能です。また、間違って弾いてしまったときに、歌詞の順番を巻き戻すような機能もあります。

通常のシンセサイザーとしての機能もあります。「NSX-39」ではワンチップにVOCALOID合成エンジンと通常のシンセサイザー機能が統合されていました。「VKB-100」ではそれぞれのチップを別々にしたことで、シンセサイザー機能も強化されているそうです。

実際触ってきた感想ですが、おっなんかスゲーという感じでした。何せ弾けないもので、それ以上の感想が出てきませんでした…。冗談で鍵盤が光る機能も欲しいと言ったら、「そ、そこまでは…」と苦笑いされました。弾けない人間に対して一生懸命説明してくださったYAMAHAの方本当にありがとうございます。

ただ、「NSX-39」に搭載されていたような安価ながらも基本性能はしっかりしたチップもあるわけですし、子供用に安い鍵盤の光るシンセサイザーは良かったりするのではないでしょうか?

なかなか良かった「ミク☆さんぽ」

ミク☆さんぽのパネル

ミク☆さんぽはスマホをかざすと実写を背景にミクさんが合成され、一緒に会場内を散歩できるという内容です。去年流行ったVRではなく、AR技術となっています。携帯会社のauが開発元なので、2017年7月よりau店舗でも体験出来ました。

ミク☆さんぽの合成写真
実際の写真
企画展の中の今までのミクさんの歴史を振り返るエリアを散歩することができ、スマホをかざした場所に応じてミクさんが反応してくれます。ミクさんとお散歩なんて中々できませんし、もっといろいろな所を散歩できるともっと楽しいと思います。もっともスマホをかざしながらニヤニヤする変な人になってしまいますが、それも仕方がないというものです!

この技術はgoogleとlenovoが開発したTangoというAR技術がベースとなっています。これはスマホに一般的に搭載されているジャイロセンサーや、AR専用のレーザーセンサーなどを新たに搭載し、自分の位置把握や空間把握にマッピング機能を実現するというものです。用途としては道案内やゲームに家具など模擬配置としています。ミク☆さんぽの場合は決められたコースを移動する道案内、周りの物体を認識して反応しつつミクさんを適正な大きさで表示する模擬配置機能、キャラクター性を付加したゲーム要素となっているように感じました。なので、実験用のソフトとして意識した結果が今回の内容なのかもしれません。

企画展その他いろいろ

砂の惑星

マジカルミライ2017 「砂の惑星」ブース
「砂の惑星」ブース
今年のマジカルミライテーマ曲である「砂の惑星」ブースもありました。大型モニターでPVが流れていましたが、みんな遠くから眺めたり写真を撮っていたりしました。写真で見ると実際の展示より結構雰囲気出てる感じです。

「砂の惑星」設定画
設定画
PV以外にも設定画や絵コンテなど展示されていました。10年経ってミクさんも随分スレてしまいました。反抗期なのかもしれません…

等身大フィギュアいろいろ

キャラクターボーカロイドシリーズ フィギュア
4人のフィギュア
今年は等身大フィギュアが充実していました。冒頭のマジカルミライ2017 Ver. のミクさんから、ミクさんを始めとするキャラクターボーカロイドシリーズ4人のフィギュアと、ミクさんの部屋といろいろです。4人並ぶのはやっぱりいいですね!今度はMEIKO姉さんとKAITO兄さんの追加してほしいです。

iXima初音ミクフィギュア マジカルミライ2017
iXima初音ミクフィギュア
iXimaさんデザインのミクさんですが、マットな質感なのが良いですね。

マジカルミライ2017初音ミクフィギュア
マジカルミライ2017初音ミクフィギュア
こちらはマジカルミライ2017年バージョンのフィギュアです。造形は悪くないのではないでしょうか?

マジカルミライ2017初音ミクフィギュア
こちらは光沢感があるのが分かります。リアリティという意味ではマットなほうが、もう少しリアルな感じがしますね。

ねんどろいどじゃんぼ初音ミク
ケーキの上に鎮座する
ねんどろいどじゃんぼ初音ミク
ミクさんの歴史?コーナーみたいなところには、10周年バースデーケーキ風のオブジェがありました。ライティングの関係で若干ダヨーさん成分を感じます。そもそもミクダヨーさんって、まんまるキュートなねんどいど初音ミクがベースなんですもんね…

ミクさんのお部屋
ミクさんのお部屋!?
ミクさんの部屋なるものが公開されていました。なんと世間の皆様に向けて大公開です!しかし、一説によるこれはミクさんのお部屋ではなく、ミク廃の部屋なのでは?という疑惑もあります。確かに自分の部屋に自分のグッズは飾らないですよね(笑) 自動車から食べ物と、ミクさんは自分のグッズだけで生活できちゃうんだから恐ろしいです。衣食までそろったので、あとは住のミクハウスぐらいでしょうか?

Gatebox

衣食住の話が出たのでGateboxの話ですが、今年は予約無しで見れる簡易ブースもあったので良かったです。Gateboxは好きなキャラクターと住める、バーチャルホームロボットを目指しているそうなので、これが出来れば独りで寂しいとはもう言わせません!写真撮影はNGということでありません。

モザイクアート

ダイヤブロック de モザイクアート マジカルミライ2017
ダイヤブロック de モザイクアート
毎年自由にコメント出来るボードや、私のような創作が苦手な人間向けに皆で作るものがあります。今年はダイヤブロックを一つづつ填めてモザイクアートでした。わかりやすく形になるので、これは結構良いのではないでしょうか?

ダイヤブロック10周年ミニ初音ミク マジカルミライ2017
ダイヤブロック10周年ミニ初音ミク
まだまだ沢山ある中の一部を紹介させていただきました。来年もマジカルミライがあるので、ぜひ訪れてみてください。

※関連記事
10周年の節目 マジカルミライ2017ライブ編

2017年9月4日月曜日

10周年の節目 マジカルミライ2017ライブ編

2017年9月1~3日の期間で行われたマジカルミライ2017年のライブについてレポートします。企画展編の記事は次回となります。

初音ミク10周年のライブ

初音ミクマジカルミライ2017の看板
今回のライブは初音ミク10周年の節目に行われたライブとなりました。初音ミクは2007年8月31日に発売されたYAMAHAのVOCALOID 2歌声音声エンジン採用した初めの製品で、その後のボカロブームを牽引することなりました。2017年9月現在の最新版は2016年8月31日発売のVOCALOID V4Xを採用しているものです。初音ミクの単独ライブとしては、2010年のミクの日感謝際より7年目となります。

※アニメロやミクFesは単独じゃないので、一応ミクの日感謝祭が最初としました。

3日間開催

今回の「初音ミク マジカルミライ2017」は9月1日~3日に、千葉県幕張メッセで開催されました。ライブは1日目が夜公演のみ、2・3日目が昼夜の2公演でした。ライブと同時開催の企画展も3日開催で、公式物販や企業の出展ブースにイベントブースでの有料・無料のミニライブが開催されました。

あまり変わらないライブ

今回もライブは楽しかったし良かったです。ですが物足りなさを感じる面も多々ありました。ちょっとネガティブな記載も多くなりますが、楽しんだ上での物足りなさというスタンスで書いていきたいと思います。

初の日にちごとのセトリ

・セットリスト
曲名/作曲者/ボーカル名

01-みんなみくみくにしてあげる♪/ika/初音ミク 
02-ストリーミングハート/DECO*27/初音ミク 
03-エイリアンエイリアン/ナユタン星人/初音ミク 
04-Singularity/keisei/初音ミク 
05-ヒビカセ/ギガれをる/初音ミク 
06-ツギハギスタッカート/とあ/初音ミク 
07-スイートマジック/ろん×Junky/鏡音リン
08-脱法ロック/Neru/鏡音レン
09-ドクター=ファンクビート/nyanyannya/KAITO
10-忘却心中/OPA/MEIKO
11-どりーみんチュチュ/emon/巡音ルカ 
12-Birthday/ryuryu/初音ミク

―1日目―
13-サイハテ/小林オニキス/初音ミク
14-メランコリック/Junky/鏡音リン
15-右肩の蝶/のりぴー/鏡音レン
16-リモコン/じーざす (ワンダフル☆オポチュニティ!)/鏡音リン・鏡音レン
17-ダブルラリアット/アゴアニキ/巡音ルカ
―2日目―
13-えれくとりっくえんじぇぅ/azuma/初音ミク
14-Fire◎Flower/halyosy/鏡音レン
15-ココロ/トラボルタ/鏡音リン
16-いーあーるふぁんくらぶ/みきとP/鏡音リン・鏡音レン
17-ルカルカ★ナイトフィーバー/samfree/巡音ルカ
―3日目―
13-千本桜/黒うさP/初音ミク
14-右肩の蝶/のりぴー/鏡音レン
15-孤独の果て/光収容/鏡音リン
16-いーあーるふぁんくらぶ/みきとP/鏡音リン・鏡音レン
17-ダブルラリアット/アゴアニキ/巡音ルカ

―バンド紹介―
BGM:nyanyanyanya/daniwellP/ボーカル無し

18-気まぐれメルシィ/八王子P/初音ミク
19-Today the future/はりー/初音ミク
20-なりすましゲンガー/KulfiQ/鏡音リン・初音ミク
21-Shake it!/emon/初音ミク・鏡音リン・鏡音レン
―アンコール―
22-メルト/ryo/初音ミク
23-砂の惑星/ハチ/初音ミク
24-39みゅーじっく! (マジカルミライ2016テーマ)/みきとP/初音ミク
25-Hand in Hand(マジカルミライ2015テーマ)/livetune/初音ミク
26-DECORATOR/livetune/初音ミク
―ダブルアンコール―
27-ハジメテノオト(合唱)/malo/初音ミク
※間違っていたらすみません

ライブは全27曲で約2時間という内容となっていました。ライブの一番最初とダブルアンコールが、初音ミク楽曲の中でも初期のものを選んだのは、やはり10周年というのを意識したのだと思います。去年はさっぱりしたノリやすい曲という方向性を感じましたが、今年は曲調としては特にそういったのはなかったと思います。

曲数は全ての日で同じですが、13~17曲目が日によって違いました。最近のマジカルミライは何度も来る人も多いでしょうし、サプライズとしては良かったと思います。ただ、年1・2回のライブで遠方からであったりと、来場出来る日が限られる人も多いと思います。ミクさんのライブは誰でも安心して見れるという良さもあり、セットリストが同じだからこそ安心出来るというのもあると思います。おまけに告知も無かったのを考えると、悪い面でもあったと思います。

代り映えのない演出だと思ったら…

スクリーンはディラッドボードと上部の大型LEDディスプレイという、マジカルミライおなじみのものでした。ディラッドボードは4:3の物を縦に7枚並べ、その後ろにそれぞれプロジェクタが配置されているようでした。基本的には非常にくっきりしてい見やすかったのですが、右端の座席で見ている時にミクさんが左端に行ったときなどはかなり薄くなって見辛い場面もあったので、まだ改善余地はありそうに思えます。

ステージ全体としてはディラッドボードを挟んでバンドが配置され、バンドの後ろから上部にかけてトラスが組んである感じです。バンドは右側にキーボードとギター、左側にギターとベースとドラムという配置でした。トラスはムービングライト・レーザー・ミラーボールなどのスタンダードな機器以外、特に飾りなどないシンプルなものでした。

音響はライブ会場向けではない幕張メッセなので、良い印象はありませんでした。特にギターの音が浮いてしまっている印象です。

演出は大型モニター中心

ムービングライトやレーザーなどの光物以外はトラスにこれといった飾りつけがないので、演出はディラッドボード上の大型LEDモニターが中心でした。曲に合わせた映像が流れたりです。演出の中心が一つになってしまっているので、嵌っている曲とそうでない曲の差が大きく感じました。それ以外としてはディラッドボードに演出が少しされる曲があるぐらいです。

今回気になったのはKAITO兄さんとMEIKO姉さんの曲です。どっちの曲でもの上部のモニターに表示される映像は単調なものでした。ミクさん中心のライブなので、どうしてもほかのキャラの曲は少なくなります。特に二人は一曲ずつしかありません。なので、もうちょっと凝った映像にしたほうが良かったんじゃと思います。特に「ドクター=ファンクビート」ではKAITOは衣装が用意されているのに、コーラスなどのサブのレンとMEIKOはノーマル衣装というアンバランスさです。もうちょっと何か…と思いました。

感謝祭ではミクさんという歌手が中心であり、飾りつけはあまりしないという方向性だったっと思います。マジカルミライは感謝際の流れも汲んでいるのもあるのか、演出はシンプル目です。感謝祭で使っていた会場は比較的小さかったのもあって、シンプルなものでも十分だったと思います。対してマジカルミライはアリーナクラスの大規模な会場中心で、シンプルなデザインだとステージが寂しい印象を受ける部分があります。そろそろスクリーンの周りの演出も、見直しても良いのではと思います。

泣いたミクさんどう思う?

十分楽しめた反面いつものマジカルミライだなあと思っていた中で、唯一衝撃的演出だったのはライブ最終日の最終公演のダブルアンコール後にミクさんが泣きながら10周年の感謝を言うという場面です。

この演出はミクパでも一度行われたことがあり、大不評になったものです。様々な意見や見た人それぞれの気持ちがあると思いますが、私なりにざっくりまとめるとこれは当時のミクさんに対する認識から来たものだと想像しています。ミクさんはヴァーチャルな存在である反面、スクリーンを通してそこに居るというのがライブです。そしてその頃のミクさんは様々なキャラ付けされていても、作品ごとにボカロPや絵師たちの様々な感情を代弁しているという要素が強かったと感じます。なのでミクさんが泣くというのは、あくまでもミクパ演出であり、ミクさん自身のものではないという印象を受けた人が多かったのかなと想像しています。ミクパ自体も一回目が、スクリーンをディラッドでなくリアプロジェクションにしたり運営がずさんだったなどのこともあり、暫くは良い面も含め否定的印象が強かった風潮がありました。その影響が実際の演出の評価以上にマイナス評価を与えたのも、間違いないと思います。

そういった以前のことを考えると、今回の演出が受け入れられるかは興味深いところです。私自身はポジション・ネガティブ両方を同じくらい感じ、どちらともいえないと感じました。ミクさんが人間で10周年の節目のライブ行ったと思えば、泣くのも自然かなと思います。その反面ミクさんのテクノロジー的な部分に魅力を感じて来たこともあり、人というよりは初音ミクという歌声を通して人々の気持ちを伝えるアンドロイドと感じる部分もあります。そもちろんアンドロイドが泣いたって良いのですが、絶対泣くかは疑問です。人ではないドライな部分もミクさんの魅力だと思うので、うーんという印象も感じました。

と、こんな感じでレポートしてみました。私も初音ミクに出会って10年で、本当によくここまで来たなという感じです。ボーカロイドというツールとして残っていても、初音ミクという存在が10年後に残っているとは思ってもいませんでした。これからも20周年30周年と活躍してくれることに期待したいです。

関連記事
マジカルミライ2017企画展編 6年越しボカロキーボードも!
マジカルミライ2018行ってきた! ライブ・企画展レポート